公正な取引はどうして必要?
現在、地球上では、利益を優先する社会が数多く存在します。その結果、人々の命や生活が脅かされ、地球環境が危険にさらされているという深刻な状態です。
ここでは、今日の社会の問題点を取り上げ、その中で公正な取引が果たせる役割を探ってゆきます。
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利益優先の現代社会
日本をはじめ、経済的に豊かな国々、いわゆる「先進国」では、モノが大量に生産・販売され、大量に消費され、そして大量に捨てられています。現代の世界市場経済のシステムは、お金(資本)をたくさん持っている人が得をする不公正なシステムです。お金が中心のシステムなので、企業はお金をより多く儲けようとします。利益が優先されるので、当然企業は費用を削減しようと努めます。そのため、原料を安く仕入れるために、生産者を搾取したり、労働者の人権を侵害している例がたくさんあります。中には、児童労働、強制労働、子どもを含む奴隷の実態も数多く報告されています。
また、「とにかく資源を安く簡単に手に入れよう」と考える企業は、地球上のいたるところで森林を破壊し、山々を切り開き、現地の環境を無視した大型農園の建設などを次々と行っています。生物多様性は失われる危険にさらされ、二酸化炭素を吸収する木々も減ると、地球温暖化が急速に悪化しかねません。
人々の人権と命と生活が脅かされ、地球環境が危険にさらされた結果できあがった商品やサービスを、私たちは消費しています。 -
身近なモノはどこからきたのか? -私たちとのつながり
コーヒー、紅茶、チョコレート(カカオ)、砂糖、バナナ、エビ、はちみつ、オレンジ、グレープフルーツ、ごま、胡椒、レーズン、コットン、ゴム、携帯電話やコンピュータの部品・・・この中で皆さんが消費するモノはありますか?この中のいくつかは、植民地時代に「これだけ栽培するように!」と植民者から押し付けられたものです。そして植民地独立後の今日、植民者にかわって(多国籍)企業が進出し、今でも同じ方法と労働環境で生産されているものもあれば、企業が新たに土地や鉱山を切り開き、同じ種類のものばかり栽培・採集させている例もあります。
生産地では、企業が費用を削減したいがために、生産者や農園労働者の人たちに適切な賃金の支払いをしていないことが多く、人々の基本的人権や労働者の権利が守られていないことが頻繁にあります。
労働条件も、長時間労働や無保険、防護服なしで危険農薬の散布をさせるなど、最悪の形態です。
言うことを聞かせやすい子どもを働かせていることも頻繁で、児童労働や子ども奴隷が存在すると言う深刻な状況です。
こうした生産地では、環境に対する配慮もなされておらず、同じ種類のモノばかりを栽培する単一栽培や大量の農薬使用により土地は弱ってしまい、大型農園の建設で森林が破壊されています。
Tシャツなどの服、スニーカーなどの運動靴、サッカーボールなどのスポーツ用品、おもちゃなどは、生産地でとれた原料を加工してつくられますが、この加工・製造工場の実態も、私たちと無関係ではありません。
企業が世界各地にもつ工場では、賃金の支払いが時間給ではなく一製品ごとであったり、病気や妊娠といった理由で解雇されたりといったことが起きています。
また、不衛生で危険な職場環境のせいで、死者がでる事故も起きているなど最悪の労働環境の実態が、世界中の市民団体などから伝えられています。
そして、生産地での話と同じように、児童労働や子どもを含む奴隷の現状が数多く報告されています。
私たちが、日々消費したり使ったりしているモノが、遠くの誰かの命、人権、生活、そして地球環境問題と深くつながっています。 -
できることを、ひとつずつ -公正な取引の役割
人々の人権と命を尊重したい。地球環境破壊を食い止めたい。そのためにできること、きっとたくさんあるはずです。
社会問題についてもっと勉強する、社会的責任を果たしている企業で働くなど、専門として取り組んでゆく。絵画や音楽など、芸術を通して、自分の思いを訴えてゆく。人権問題や環境問題に取り組むNGOや市民団体の活動に参加する。政治に参加して、国や地方の政策から変えてゆく。・・・社会との関わりの中でできること、たくさんありそうです。
でも、自分が消費しているモノの問題だから、もっと身近に行動できないか。日々の生活の中で、何かできることはないか・・・そうした思いも大切です。
公正な取引の商品を選ぶということは、そんな日常生活でできる大切な行動のひとつです。
公正な取引とは、公正な価格で取引を行い、生産者や労働者の人たちの人権を尊重し、地球環境に配慮した、持続可能な取引/貿易のしくみです。
公正な価格での取引は、従来の市場システムの不公正な部分を公正なものに変えてゆくための一つの方法です。生産者や労働者の人たちの人権を守り、強制労働、児童労働、奴隷を廃し、人々の尊厳と命を守ります。また、農薬の大量使用は行わず、有機栽培など現地にあった持続可能な栽培方法を促進します。そして、公正な取引により支払われるプレミアム(割増金)は、生産者や労働者の人々がその使いみちを決定し、地域の社会的発展につながります。
地球規模の問題を解決するための、ほんのちいさな一歩かもしれません。しかし、私たちが公正な取引の商品を選ぶということは、より公正な社会を実現するためにできる、日常の大切な行動のひとつです。